第二章 禁断・はぎ香<13>
較べると、わたしなんてまだ子ども。秘密を持った子ども。
忘れたいことは思い出さない主義だもの。青樹との非日常的な出来事なんてもう全然気にしていなかったし、青樹ももう何も言って来なかったけれど、光彦が恋しくて、あの日の無防備だったわたしを後悔しているの。
まだまだ子どもでいたかったのに。ここに写っているわたしは、どれもこれもまだ子どもなのにと、光彦の傍で笑って写している写真が何枚も続くのを眺めながら、だんだん、ぼんやりと、いつもより寂しい。
光彦は、どんどん男らしい。どんどん素敵。そして、今日なんて、麻と絹で織り上げたエメラルドグリーンの上着を着た光彦は、もう、わたしの兄ではないみたいに大人の男の人に見えた。
「あら!光彦、とっても似合ってる!素敵!素敵な光沢!」
と、はしゃいで言う母を、わたしは横目で見ていた。イヤラシイ。さっさと誰か見つけて再婚しちゃえばいいのよ。光彦は息子でしょ。恋びとじゃないのよ。いつまでもベタベタしてキライ。
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