第二章 禁断・はぎ香<12>
七月二十日。雅彦の結婚式に出かけて帰りの遅い光彦を待ちくたびれて、おかあさまは二階へ上がってしまったけれど、わたしは、もう一日休みも残っていたので、まだ起きていた。もう、おかあさまは眠ったみたい、絶対もう起きて来ないーと確かめて、時間を置いてから、わたしは光彦の部屋に入った。
わたしは時々、光彦の部屋に入り光彦のアルバムを見ているのが好きだった。そこにある写真そのものよりも何枚か空白になっている部分を見ているのが好きだった。光彦は友達の写真の外に、わたしと写している写真もQ市へ一緒に持って行ってくれている。今日も、その空白を確かめて、そして、今夜は素直になれそうだからと、光彦の帰りを待った。
雅彦の結婚は、わたしにとって別な意味でスゴくショックだった。"サヤカ"と一緒に大通りを駆け抜けて、真新しい緑のA市を手を繋ぎあって眺めた、あの不思議な優しさに包まれた朝から、まだ三か月だった。あの時は、なんだか、わたしを恋びとにしたいみたいな、そんな態度だったのに、何て早い心変わり!と呆れた気持ちもあったけれど、それ以上に、雅彦は、もう結婚してしまうほど大人だったと思うと、雅彦と二つしか違わない光彦はー、光彦も、もしかして、もうすぐー?と考えてしまって、それがショックだった。
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